恋歌
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4.4 • 21件の評価
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- ¥850
発行者による作品情報
樋口一葉の師・中島歌子は、知られざる過去を抱えていた。幕末の江戸で商家の娘として育った歌子は、一途な恋を成就させ水戸の藩士に嫁ぐ。しかし、夫は尊王攘夷の急先鋒・天狗党の志士。やがて内乱が勃発すると、歌子ら妻子も逆賊として投獄される。幕末から明治へと駆け抜けた歌人を描く直木賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
第150回(2013年下半期)直木賞受賞作。実在の歌人、中島歌子の波乱万丈な恋と人生を描いた歴史小説であり恋愛小説。中島歌子は、歌塾「萩の舎」を主宰し、樋口一葉、三宅花圃の師となった明治の歌人における第一人者。豪商の家に生まれ、大恋愛の末に水戸藩士に嫁ぐも、幕末の動乱で夫を亡くす。さらに自らも投獄されるという憂き目に遭いながら、明治に入って歌人としての地位を確立し、上流階級の子女を中心に多くの門弟を抱えるまでになる。そんな歌子の手記を、弟子の三宅花圃が読み進めるという形で進行する本作は、女性目線での描写や語り口が軽妙でかわいらしく、詠まれる短歌は力強い。一方で、凄惨な時代の流れも並行して描かれ、薩長という明治維新の立役者ではなく、徳川御三家という幕府の重鎮でありながら、尊王攘夷の気風が強い水戸藩という特異な存在の内紛をクローズアップした点が斬新。衝撃のクライマックスにも意表を突かれ、史実に基づいた見事なエンターテインメント作品に昇華されている。