王妃の離婚
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- ¥650
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発行者による作品情報
1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上がる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法廷サスペンス。第121回直木賞受賞の傑作西洋歴史小説。
APPLE BOOKSのレビュー
中世ヨーロッパを舞台とした歴史小説を多数手掛ける佐藤賢一による傑作法廷サスペンス。15世紀末、かつてパリ大学法学部でカルティエラタンの風雲児と呼ばれていたフランソワはパリを追われ、うだつが上がらない中年弁護士となっていた。そんな彼が、フランス国王ルイ12世と王妃ジャンヌとの離婚訴訟の不平等な裁判に業を煮やし、誰もやりたがらない王妃の弁護を引き受けることに。国王派の検事や判事で占められた絶対的に不利な状況の中、フランソワは巧みな弁舌で逆転を重ね、自身も往年の輝きを取り戻していく。実在したルイ12世と王妃ジャンヌの離婚騒動の顛末を取り上げた本作。国王やバチカンの思惑などが複雑に交錯する中で、孤軍奮闘するフランソワの痛快な逆転劇として描かれ、第121回直木賞を受賞した。当時のフランスの暮らしや文化、ラテン語で行なわれる教会裁判のシステムなど、丁寧に描かれたディテールには作者の深い造詣が散りばめられている。