仲蔵狂乱
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- ¥850
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発行者による作品情報
〈存分に舞い狂うてみせてやる……〉江戸は安永――天明期、下積みの苦労を重ね、実力で歌舞伎界の頂点へ駆けのぼった中村仲蔵。浪人の子としかわからぬ身で、梨園に引きとられ、芸や恋に悩み、舞いの美を究めていく。不世出の名優が辿る波乱の生涯を、熱い共感の筆致で描く。第8回時代小説大賞受賞作。
カスタマーレビュー
研究堂
、
辿り着いた
中村仲蔵という歌舞伎役者のことを知ったのは10年以上も昔、春風亭小朝師匠の落語の会で女房と二人、かなり前の方の席で噺を聴いた記憶があります。
その後、何度か小朝師匠の会に行きましたが、数年前の会でまた仲蔵ネタの噺をされたので、よほど好きで詳しく知っているのだろうと印象に残ったものです。そして中村仲蔵とはいったいどんな役者でどんな生涯を送った人なのかという興味が生じました。
昨年、書店で購入した松井今朝子さんの『歌舞伎の中の日本』を、つい最近拝読いたしました。
全く知らなかったことがとても分かり易く書かれているうえ、今迄持っていた歌舞伎のイメージを一新されるような内容で、たいへん良くできた本だと思いました。
その本の中で仲蔵の当たり役・定九郎のこともですが、松井さんが『仲蔵狂乱』という作品を書いておられることを知ったのはたいへんな収穫でした。
今回初めて電子書籍という手段でこの本を拝読いたしましたが、長い間、喉につっかえていた物がストンと落ちたような爽快感があります。
小朝師匠の噺がどのエピソードだったか覚えておりませんが、また聴く機会があればより一層楽しめることと思います。