六人の嘘つきな大学‪生‬

APPLE BOOKSのレビュー

どんでん返しの雨あられ。『教室が、ひとりになるまで』の浅倉秋成が、就活を舞台に仕掛ける密室バトル劇×青春ミステリー。急成長を遂げるIT企業、スピラリンクスの新卒採用で最終選考に残ったのは、6人の大学生。与えられた課題は、1か月後のグループディスカッションまでに最高のチームを作り上げること。うまくいけば6人全員に内定を出す可能性もあるという。だが、本番直前、会社からの通達で状況は一変。採用枠は1人。ディスカッションの議題は、6人の中で誰が最も内定にふさわしいかに変更される。タイムリミットは2時間半。さらに会議室では、6人に宛ててそれぞれの罪を告発した文書の入った封筒が見つかる。疑心暗鬼の心理戦の中、熾烈（しれつ）な椅子取りゲームを制するのは誰なのか？ そして封筒を置いた犯人は？ これまで作者が得意としてきた超現実的な特殊設定は封印しているが、多重解決型の本格ミステリーとしての緻密なゲーム性が増している。「伏線の狙撃手」の異名を持つ通り、次々とピースがはまり、キャラクターが反転していくクライマックスには最上級の快感が。そこから、“就活というシステムは人を見抜けるのか”というテーマにつながっているのも見事。