内臓とこころ
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- ¥880
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発行者による作品情報
「こころ」とは、内蔵された宇宙のリズムである―おねしょ、おっぱい、空腹感といった子どもの発育過程をなぞりながら、人間の中に「こころ」がかたちづくられるまでを解き明かす解剖学者のデビュー作にして伝説的名著。四億年かけて進化してきた生命の記憶は、毎日の生活の中で秘めやかに再生されている!育児・教育・保育・医療の意味を根源から問いなおす。
APPLE BOOKSのレビュー
東京藝術大学の教授であり解剖学者だった三木成夫が、人間の中で“こころ”が形成されるまでの神秘を解剖学の視点だけでなく、進化生物学や哲学に踏み込みながら、宇宙のスケールまで広げて解き明かす『内臓とこころ』。著者が保育園で講演した内容を原稿化したもので、語りかけるような文体と共に、実際に話を聞いているようなフランクな気持ちで読めるのもいい。第一章では、体の内側にある“内臓系”、いわゆる“はらわた”の部分の感覚が一体いつどんなふうに発達するのかに着目し、子供たちの成長を例にしながら膀胱感覚や口腔感覚、胃袋感覚を掘り下げる。第二章では内臓の感覚と“こころ”の関係、そして季節や宇宙との呼応を通して人間と動物の“こころ”の違いを説いていく。第三章では“こころの目覚め”の模様とそこに“あたま”がかみ合ってゆく経緯を、赤ん坊の日々の成長観察から振り返る。乳児期から幼児期、そして3歳児までの世界は、人間誕生の数百年、数千万年の歳月のドラマが濃縮して再現され、子どもの一挙一動に人間の遠い祖先の面影が感じ取れる瞬間があるという。原本が1982年に刊行された名著だが、色あせることなくその視点や世界観はいまだに新鮮で感動を覚える。子育て中の父母や、これから子を持つかもしれない人々にはおすすめの書だ。