宙ごはん
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- ¥1,600
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発行者による作品情報
この物語は、あなたの人生を支えてくれる。
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。
APPLE BOOKSのレビュー
出会いと別れ、そして食卓を通じて成長していく少し風変わりな母娘の物語。小学校に入学した川瀬宙(そら)は、それまで育ててくれた叔母の風海(ふみ)と離れ、産みの親であるイラストレーターの花野(かの)と暮らすようになる。ところが、美しく魅力的に見えた花野は、一緒に暮らしてみると最初の印象とは大違い。料理は中学時代の後輩だったという商店街のビストロで働く料理人の佐伯に丸投げし、家の中では常にジャージ姿で宙のことはほったらかし。たまに構ってくれたかと思うと、恋人とのデートに引っ張り出す。ある日、そんな状況に耐えきれず家を飛び出した宙のリクエストで佐伯はパンケーキを作る。元気になる魔法がかかったようなパンケーキは宙にとって幸せの象徴となり、自分でも作れるようになるために教わったレシピを書き留め始める。自身の生い立ちから親になりきれなかった花野と、“普通”を諦められない宙。やがて宙は“普通”だと思っていた人たちも、それぞれ複雑な事情を抱えていることを知る。食卓が育む縁によって、母娘が少しずつ成長し前に進む姿から、永遠に変わらないものなどないということ、相手を決めつけず、理解しようとすることの重要性を再認識させてくれる。