宮沢賢治きのこ文学集成 宮沢賢治きのこ文学集成

宮沢賢治きのこ文学集‪成‬

    • ¥2,800
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発行者による作品情報

とりて来し 白ききのこを見てあれば なみだながるる 寄宿のゆうべ

“日本を代表するきのこ文学者”宮沢賢治の短歌・詩・小説・童話を集成!
『泉鏡花きのこ文学集成』に続く、「きのこ文学」シリーズ第二弾!
その魅力を説く「編者解説 きのこ文学者としての宮沢賢治」付!

楢夫(ならお)は夕方、裏の大きな栗の木の下に行きました。其(そ)の幹の、丁度(ちょうど)楢夫の目位高い所に、白いきのこが三つできていました。まん中のは大きく、両がわの二つはずっと小さく、そして少し低いのでした。
楢夫は、じっとそれを眺めて、ひとりごとを言いました。
「ははあ、これがさるのこしかけだ。けれどもこいつへ腰をかけるようなやつなら、ずいぶん小さな猿だ。そして、まん中にかけるのがきっと小猿の大将で、両わきにかけるのは、ただの兵隊にちがいない。いくら小猿の大将が威張(いば)ったって、僕のにぎりこぶしの位もないのだ。どんな顔をしているか、一ぺん見てやりたいもんだ」
そしたら、きのこの上に、ひょっこり三疋(さんびき)の小猿があらわれて腰掛けました。(「さるのこしかけ」より)

【内容目次】
短歌四首
詩:何をやっても間に合わない/休息/おい けとばすな/スタンレー探検隊に対する二人のコンゴー土人の演説/秘境/林と思想
小説・童話 さるのこしかけ/三人兄弟の医者と北守将軍/あけがた/車/ビジテリアン大祭/税務署長の冒険(抄録)/谷/二人の役人/どんぐりと山猫/狼森と笊森、盗森/鹿踊りのはじまり/土神ときつね/朝に就ての童話的構図
編者解説 きのこ文学者としての宮沢賢治 飯沢耕太郎

【著者プロフィール】
宮沢 賢治 (ミヤザワ ケンジ) (著)
1896年岩手県花巻生まれ。盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)卒業。1921年から花巻農学校で教諭を務める。1926年に退職し、羅須地人協会を設立、農業技術指導などを行なうが、1928年に過労で倒れ、以後は療養生活を続けながら執筆活動を行なう。1933年9月21日没。享年37。生前に刊行された単著は、詩集『春と修羅』(1924)、童話集『注文の多い料理店』(1924)のみであったが、1934~35年には文圃堂から全3巻の全集が、1939~44年には十字屋書店から全6巻+別巻1の全集が刊行された。戦後も筑摩書房から数次にわたって全集が刊行されている。

飯沢 耕太郎 (イイザワ コウタロウ) (編)
1954年生まれ。写真評論家、きのこ文学研究家。きのこ関連の著書に、『世界のキノコ切手』(プチグラパブリッシング、2007)、『きのこ文学大全』(平凡社新書、2008)、『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』(東京キララ社、2010)、『きのこのチカラ きのこ的生き方のすすめ』(マガジンハウス、2011)、『フングス・マギクス 精選きのこ文学渉猟』(東洋書林、2012)など、編書に、『きのこ文学名作選』(港の人、2010)、『きのこ文学ワンダーランド』(共著、DU BOOKS、2013)、『世界のかわいいきのこデザイン』(共著、DU BOOKS、2016)、『きのこ漫画名作選』(Pヴァイン、2016)、『泉鏡花きのこ文学集成』(作品社、2024)など、監修に、玉木えみ『少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS、2013)、玉木えみ『増殖・少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS、2015)などがある。

ジャンル
小説/文学
発売日
2025年
10月15日
言語
JA
日本語
ページ数
256
ページ
発行者
作品社
販売元
Digital Publishing Initiatives Japan Co., Ltd.
サイズ
8.3
MB
銀河鉄道の夜 銀河鉄道の夜
1993年
注文の多い料理店 注文の多い料理店
1928年
よだかの星 よだかの星
1993年
春と修羅 春と修羅
1990年
猫の事務所 猫の事務所
1990年
宮澤賢治 詩集 宮澤賢治 詩集
2013年