帰宅部ボーイズ
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4.3 • 16件の評価
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発行者による作品情報
まっすぐ家に帰って何が悪い!入部した野球部に馴染めない直樹。喧嘩早くクラスで浮いた存在のカナブン。いじめられっ子のテツガク。学校にも家にも居場所のない3人が、共に過ごしたかけがえのない時間。喧嘩、初恋、友情、そして別れ......。帰宅部にだって汗と涙の青春はあるのだ。「10年に一冊の傑作青春小説」と評された、はみだし者達の物語。
APPLE BOOKSのレビュー
“帰宅部”という、人によってはネガティブな印象を受けるテーマながらも、そこにある変わりなく尊い日々を爽やかに描いた青春小説。中学入学と同時に、ひそかに憧れていた金崎文彦(愛称カナブン)と親しくなった主人公の矢木直樹。学校で1年生は原則全員部活動に参加とされていたが、直樹もカナブンも第1希望が通らない。無理矢理サッカー部に入れられたカナブンは、先輩からの理不尽な要求に耐えきれずに部活を辞め、苦労して野球部に入り直した直樹も陰湿な部の空気になじめず、結局退部してしまう。帰宅部となった2人は放課後の教室でピンポンをしたり、廃棄予定の給食牛乳を「救出」したり。そんなある日、2人は下校中に小島と名乗る不審な男子生徒と出会う。テツガクと名付けられた彼もまた、写真部を辞め帰宅部に。部活動が不調に終わったことへの怒り、焦り、そして喪失感。けんかや初恋、そして夢。かけがえのない日々を送る中、少しずつ3人の関係性も変化していく。一児の父となった直樹が過去を振り返るという構成が、思い出の日々をより鮮明に浮かび上がらせる。最初は悪口だったあだ名を受け入れたカナブンの決意と、その結末が悲しい。