新装版 匣の中の失楽
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5.0 • 1件の評価
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- ¥1,600
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発行者による作品情報
推理小説マニアの大学生・曳間が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの《さかさまの密室》とは? '78年、弱冠22歳の青年によって書かれたこの処女作は「新本格の原点」、「第4の奇書」と呼ばれる伝説の書となった。いまだ色褪せない未体験の読書を今こそ! 幻のサイドストーリー『匳(こばこ)の中の失楽』も収録!
APPLE BOOKSのレビュー
「涙香迷宮」で第17回本格ミステリ大賞を受賞。虚実が混ざり合う幻惑的な表現を得意とする推理作家・竹本健治のデビュー作「新装版 匣の中の失楽」。12人の推理小説好きのキャラクターたちが、仲間内で起きた密室殺人事件の犯人や動機、トリックを心理学、数学、物理学、哲学などそれぞれの深い専門知識をもとにして推理していく。膨大な知識量から新しい謎解きのアプローチが生み出されるなど、型破りな発想力に意表を突かれる。本作の構成は、"現実"として進行していくストーリーと、作中の登場人物によって描かれる作中作が、章ごとに交錯するという複雑なもの。どちらに主軸を置くかで現実と虚構が入れ替わる内容に踊らされながらも引き込まれる。2つの世界の登場人物が重なることで、さらに境界が曖昧になり謎が深まっていく展開が独創的。物語が進むにつれ、さまざまに絡み合う人間関係も次第に明らかになり、さらに意外な結末へと導かれる。本格的な謎解き要素と多くの実験的な試みが相まって、繰り返し読むほど味わい深い作品となっている。