新装版 殺しの双曲線
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4.2 • 23件の評価
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発行者による作品情報
差出人不詳の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。そして、そこで巻き起こる連続殺人。クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格ミステリー。西村京太郎初期作品中、屈指の名作! (講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
『十津川警部』シリーズでトラベルミステリーの一大ブームを起こした西村京太郎。1960年代に本格的に作家デビューして以来、2022年に91歳で逝去するまでに発表した作品の数は647冊にのぼるが、本作は西村が自薦ベスト5に挙げたうちの一作で、1971年に発表した本格ミステリー。意欲的な初期作を知れば、西村のイメージが激変すること間違いなしだ。「メイントリックは、双生児であることを利用したもの」と断り、「読者にフェアに挑戦したい」と闘争心をあおりまくるメッセージで始まる。しかし、挑戦状に翻弄(ほんろう)されないよう、一呼吸おいて読み始めるべし。年も暮れた東京の片隅で、一卵性双生児の兄弟が大胆不敵な連続強盗事件を起こす。その頃、スキーリゾートに招待された男女6人は、雪に閉ざされたホテルで次々と命を奪われていた。クローズドサークルと双子の関連性が終盤明かされるが、その爽快感を一瞬で吹き飛ばすかのように、西村は人間の業の深さを突きつける。最後の一文にまで情熱を感じさせる名作。