【朗読音声付】蜘蛛の‪糸‬

●プロのナレーターによる朗読音声付書籍


地獄の底に、犍陀多(カンダタ)と云う男がいました。この犍陀多と云う男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でした。しかし一度だけ、善い事をしたことがありました。それは小さな蜘蛛を殺さずに助けたことです。


極楽の蓮池を歩いていたお釈迦様はふと水面の下に見える地獄の容子をご覧になり、この犍陀多が蜘蛛を助けた事があるのを思い出しました。そして極楽から蜘蛛の糸をたらし、犍陀多を救いだしてやろうと考えました。


地獄にいる犍陀多は自分の上に垂れてくる一すじの蜘蛛の糸を見つけて喜び、両手でつかみ上へとのぼり始めました。そのあとを数限りない罪人たちがよじのぼってくるのに気づいた犍陀多は…