



鼻
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4.0 • 858件の評価
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発行者による作品情報
芥川龍之介の作品の中では「王朝物」と呼ばれるもののひとつで、「今昔物語集」と「宇治捨遺物語」から題材を取っている。顎の下までぶら下がる大きな鼻にコンプレックスを抱く僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する様を、心理描写を交えつつをコミカルに描いた作品。見た目を取り繕うことの愚かさ、そして他人の不幸を笑う卑しさを訴えかけている。芥川はそうした人の心の奥底に潜む心理的な揺らぎをこの作品中で「傍観者の利己主義」と呼んでいる。1916(大正5)年に『新思潮』創刊号に発表され、夏目漱石が絶賛し、久米正雄が高く評価したことでも知られる芥川の出世作。1959(昭和34)年に三木のり平主演でテレビドラマ化(日本テレビ)された。
カスタマーレビュー
'U'MA
、
コンプレックス克服の逆説
コンプレックスとは克服した方がより惨めなものになるという逆説的な真実を最終的に受け取った。
最後に芥川は、なぜ短い鼻の方が笑われるようになったのか色々解釈しているが、肝心なものが欠けている。
鼻が短くなったことで、多くの人は内供が長い鼻を気にしていたことを悟り、より笑うようになったと見るのが1番自然である。
つまり、高僧なのに子供のように表面的な自尊心を持っていることがバレて笑いを誘ったのだ。
芥川はわざと外した解釈を書いて、読者の正しい読解力を引き出そうとしているのだろうか?
いずれにせよコンプレックスとは、内心気にしていてもその素振りも見せない方が、あるいはそれについて自虐ネタを言ったりする方が、より人の尊厳を高めるものだということが分かった。
なおぴのりぴ
、
名作
傍観者の利己主義。芥川らしい皮肉が描かれている。
Lokhggukgddjkl
、
よき
今の自分の生活というか価値観を見直す機会になった。短編だからさらっと読めて面白かった。