死んでいない者
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- ¥730
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発行者による作品情報
通夜が奇跡の一夜に。芥川賞受賞作
ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集った。
子、孫、ひ孫三十人あまり。
縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、
重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。
「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。
解説・津村記久子
APPLE BOOKSのレビュー
第154回(2015年下半期)芥川賞受賞作。親戚が久しぶりに顔を合わせる冠婚葬祭が、慶弔と並行して近況報告の場となるのはよくあることだろう。滝口悠生の本作も、そんなシチュエーションで繰り広げられる物語だ。大往生を遂げた老人の葬儀に集まった親戚一同。通夜の後、彼らはお互いのことをよく知らないまま宴会にて酒を酌み交わし、とにかく話を始める。彼らが話すのは思い出や現状、雑感や他の誰かの話など多岐にわたる。登場人物が多く、主人公と呼ぶべきキャラクターもいないために、その無作為な会話は最後までまとまることがない。語り手の視点が次々に変わり、会話と地の文の区別も曖昧にされているために、今ここで語られている物語が誰のものなのかも常に不明瞭だ。しかし、この不明瞭さは作者の意図した設計なのかもしれない。なぜならそれは、個人の手を離れて空中に放たれた記憶を回遊するような、スピリチュアルな読書体験を生み出しているからだ。タイトルが“死んで(ここに)いない者”と、“生きている者”とのダブルミーニングでもあるように、葬式という生と死のはざまにふさわしい思念に満ちた一作。
カスタマーレビュー
ラワンラワンし
、
よく分からなかった
何を伝えたいのか分からなかったが、それを意図して執筆しているのかとも思えた。登場人物が煩雑で、最後の最後まで誰がどの家族構成にあたるかぼんやりしたまま読み終えた。