蛇を踏む
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3.4 • 17件の評価
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- ¥460
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発行者による作品情報
藪の中で踏んでしまった蛇が女になり、わたしの部屋に棲みついた。夜うちに帰ると「あなたのお母さんよ」と料理を作り、ビールを冷やして待っている──「蛇を踏む」。うちの家族はよく消えるが、上の兄が縁組した家族はよく縮む──「消える」。背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった──「惜夜記(あたらよき)」。神話の骨太な想像力とおとぎ話のあどけない官能性を持った川上弘美の魅力を、初期作ならではの濃さで堪能できる、極上の「うそばなし」3篇。
APPLE BOOKSのレビュー
第115回(1996年上半期)芥川賞受賞作。数珠屋に勤めるヒワ子は、公園に行く途中のやぶで、蛇を踏んでしまう。「踏まれたらおしまいですね」と蛇は言い、50歳くらいの見知らぬ女の姿に化けると、どこかに歩いていってしまう。ところが、ある日ヒワ子がアパートの部屋に帰ると、当たり前のようにその女が居着いているのだった。自身をヒワ子の母だと主張するその女は、ごく自然に振る舞い、部屋を片付け、食事を用意し、コップにビールまで注いでくる。当惑する一方で、その状態に徐々になじんでいくヒワ子。どうやらヒワ子の蛇だけが特別なのではなく、数珠屋の周囲でも蛇は当たり前のように化けて出るらしい。その女を追い出しかねているヒワ子は、やがて蛇の世界へと誘われるのだった。その生態から古来各地であがめられ、地母神の象徴とも言われている蛇。ヒワ子が蛇の世界にあらがうのは、人でなくなることを恐れてなのだろうか。それとも母なるものに対しての自立心からだろうか。川上弘美が得意とする、現実のようでありながら、素知らぬ顔でぬるりと異世界が混じりこむ、不思議な空気に満ちた傑作。
カスタマーレビュー
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、
面白い
何度も読んでも面白い濃い本です。
幾つか物語があるけれどどれも好きです