



猛スピードで母は
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3.8 • 22件の評価
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- ¥440
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発行者による作品情報
「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。
APPLE BOOKSのレビュー
第126回(2001年下半期)芥川賞受賞作。表題作「猛スピードで母は」は、北海道のとある街で母と2人で暮らす少年、慎の物語。母の繰り返す恋愛や自分たちを心配する祖父母との関係、そんな大人たちの日々を淡々と観察する。同時収録の「サイドカーに犬」は、第125回(2001年上半期)芥川賞候補作。どこか子どものようで、自由で大胆な父の愛人に少しだけ憧れを抱いた薫が思い出す小学校4年生のひと夏を描く。いずれの作品も、ちょっぴり世間と外れた大人たちの身勝手な行動に振り回されながらも、悲愴感や暗さはなく、むしろ諦めにも近い冷静さをもって観察している子どもたちの描写が印象的だ。それでも大人の不器用な愛情が子どもたちに届いているからこそ、彼らの先に見える未来がぼんやりと明るさを含んでいることに安心を覚える。子どもたちは大人が思っているよりもずっと聡い。子ども時代、頼りになると思っていた大人たちの完璧ではない姿を見た時の感情や皮膚感覚をふと思い出させるノスタルジックさが、この作品で描かれる日常のささいな情景に宿っている。
カスタマーレビュー
runrenran
、
おもしろかった
ぐ