総員起シ
-
- ¥640
-
- ¥640
発行者による作品情報
太平洋戦争時、日本領土内で起こった劇的な出来事を発掘!
当事者に綿密な取材を行って書き上げられた衝撃の戦史小説
北海道の海辺の寒村に次々と流れ着く死体の群れ。沖合で潜水艦に撃沈された輸送船では、上陸用舟艇に載れたのは将校ばかりだった(「海の棺」)
ソ連軍の侵攻にさらされた樺太の炭鉱町で、看護婦たちが集団自決を図った。記者の取材に生き残った元看護婦たちは固く口を閉ざすが……(「手首の記憶」)。
昭和20年8月22日。戦争は終わったはずの北の海で、ソ連籍と思しき潜水艦の攻撃で沈没した「小笠原丸」の悲劇(「烏の浜」)。
沖縄戦で軍司令部の散発要員として軍に帯同した理髪師が見た、軍司令官自決の真実(「剃刀」)。
訓練中に不幸な事故で沈没した潜水艦・伊三十三。9年の歳月を経て引き上げられた艦内の一室からは、生けるが如き13名の遺体が発見された(「総員起シ」)。
全5篇を収録。
カスタマーレビュー
toboo
、
言質と情景で作る極み
吉村先生の書はあらかた読み尽くしたが本書は後手になった。短編集への私見から。
叙情文は皆無。短文の情景と言質のみで、恐れ・苦しみ・刹那・・言葉では言い表せ尽くせない諸々が目の前に繰返し浮かび思い出す度に切り込み辛さを深めていく。先生が何を伝えたいか、それは各人が目の前に見た景から思う事であり、私の貧弱な知見で触れる事ではない。
強い。