



赤と青のガウン
オックスフォード留学記
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4.4 • 52件の評価
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- ¥1,100
発行者による作品情報
女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王殿下による英国留学記。待望の文庫化!《赤と青のガウン。それは、私が博士課程を始めたときからいつか着る日を夢みてきたものだ。五年間の留学生活中、何人もの友人が博士課程を無事修了し、オックスフォードを旅立っていく様子を何度も見送ってきた。晴れ晴れとした表情でこのガウンを身にまとい、学位授与式が行われるシェルドニアン・シアターから出てくる友人たちの姿は、誇らしくもあり、またうらやましくもあった。オックスフォード大学の厳しい博士課程を成し遂げた者しか袖を通すことを許されない赤と青のガウンは、くじけそうになったときにふと頭に浮かび、オックスフォードに来たときの自分に立ち返らせてくれる「目標」だった。》(「あとがき」より抜粋)英国のオックスフォード大学マートン・コレッジでの、2001年9月から1年間、そして2004年9月から5年間の留学生活の日々——。当時の心情が瑞々しい筆致で綴られた本作品に、新たに「文庫版へのあとがき」を収録。〈本書の主な内容〉●おわりとはじまり●英語の壁●側衛に守られるということ●子どものころからの習慣●外国でのハプニング●授業のこと●古代ケルト史を学ぶ●マートン・コレッジの一日●フォーマル・ディナーの楽しみ●海外で頑張る日本人留学生たちの進路●「浮世絵はどのようにみるものなのか」●アフタヌーン・ティーを女王陛下と●バッキンガム宮殿へのお招きの連絡●英国の電車の思い出あれこれ●二度目の留学●何をやってもうまくいかない日●法隆寺金堂壁画●英国の食あれこれ●美術史研究者の試練●謎の侵入者●お雑煮とスコーン●博士論文性胃炎●博士論文への二つの壁●人生でいちばん緊張した日●たくさんのおめでとうのあとで……●生まれて初めての猛抗議●心からの「最終報告書」〔ほか〕
APPLE BOOKSのレビュー
女性皇族として初めて海外大学の博士号を取得した、彬子女王によるイギリス留学記。タイトルの『赤と青のガウン』とは、オックスフォード大学の学位授与式で卒業生が袖を通すガウンのことで、それは5年に及んだ留学中に殿下が常に目標とされてきたものだった。本作の魅力は、何といっても普段はうかがい知れない“プリンセスの日常”を垣間見ることだろう。日本ではいつも側衛に守られてきた彬子女王が、初めて1人で暮らし、電車に乗り、格安航空券を買って旅に出るも、入国審査でハプニングに見舞われる。英語に苦労し、論文審査の高い壁の前で挫折しそうになる…。そんな日々は、意外にも普通の留学生の日常と地続きだ。凛とした美しさの中にユーモアが息づく文章からも、飾らぬ人柄と親しみが感じられる。もちろん、エリザベス女王のアフタヌーンティーに招かれるなど、皇族ならではの体験も多々つづられており、この日常と非日常のギャップは、殿下にしか描き出せなかったものであるのは確かだ。とは言え、本作は私たちとかけ離れたおとぎ話ではない。慣れない異国の地で孤軍奮闘した一人の女性の、普遍的な成長の記録でもあるのだ。
カスタマーレビュー
留学の面白さと苦労が詰まった成長物語
まったく皇族ファンではありませんが、読み物としてとても面白かったです。
皇室の方々の生活や日常も普通に描かれていて、身近に感じる面と特別に感じる面と両方ありましたが、嫌味に思うことなく、笑いあり涙あり楽しく読了しました。