銭形平次捕物控 023 血潮と糠
発行者による作品情報
『銭形平次捕物控 023 血潮と糠』は明治から昭和時代にかけて活躍した小説家・作家・音楽評論家、野村胡堂の作品である。何者かに毒殺された若い乞食が、百両という大金を持っていたことに興味を抱いた銭形平次は、男に毎日食事を運んでいた若い娘の存在を突き止める。男女の正体は、裕福な米屋「越後屋」の娘・お絹と手代の弥三郎で、二人は好き合っていたが、業病を苦にした弥三郎は、家を出て乞食になっていた。下手人が判明しない中、越後屋の主人・左兵衛が斬り殺され、甥(おい)の新助も手傷を負うという事件が起きて…。「だがね、親分、仲のいい夫婦だからいいようなものの、他人同士じゃ血と血が刃物の上で交(まじ)るのは縁起が悪いと言いますぜ」。平次と妻・お静のラブラブ・エピソードがトリックの伏線になっているとはお見事。