頬に哀しみを刻め
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- ¥1,300
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発行者による作品情報
『このミステリーがすごい! 2024年版』(宝島社)海外編第1位!
「ミステリが読みたい! 2024年版」(早川書房)海外篇第3位!
アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞3冠!
MWA賞長篇賞最終候補作!
黒人の父親、白人の父親、惨殺された息子たち――
血の弔いが幕を開ける。
「懺悔と贖罪に彩られた哀しき父親たちの挽歌」
宇田川拓也 ときわ書房本店 (本書解説より)
デニス・ルヘインの『ミスティック・リバー』を訳したときと同じくらい、感情を揺さぶられた。
――加賀山卓朗(翻訳家)
読者の鈍った心身を痛めつけ、頭蓋と魂を揺さぶる! S・A・コスビーの才能は、もはや疑いようがない!
――小島秀夫(ゲームクリエイター)
僕らの生きるこの世の悲痛を描く、コスビーは詩人である。
――霜月 蒼(ミステリー評論家)
疾走する文章によって読む者の心をたまらなく震わせる物語である。
――杉江松恋(書評家)
現代クライムサスペンスの最前線をゆく傑作だ。
――吉野 仁(ミステリー評論家)
殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき――。解説:宇田川拓也
APPLE BOOKSのレビュー
デニス・ルヘインやウォルター・モズリイから激賞され、アメリカ南部ノワールの旗手として躍り出たS・A・コスビーの第3作。前作『黒き荒野の果て』に続き、日本でも各種の年間ミステリーランキングに選出された、壮絶かつ痛切なクライムアクションだ。バージニア州リッチモンドで同性婚をした黒人と白人の男性カップルが銃で惨殺された。2か月後、黒人の被害者の父アイクの元にバディ・リーという白人の男が訪れ、息子を殺した犯人を2人で捜さないかともちかける。一度は断るアイクだが、息子たちの墓が何者かに破壊された事実を知り、行動を開始する…。かつて犯罪組織に属し、殺人罪で服役したものの、今は造園業を営むアイクと、同じく前科者だがアルコール依存症でトレーラーハウス暮らしのバディ。対照的な2人に共通するのは、男らしさにとらわれ、性的少数者の息子を認められなかったことへの後悔の念。丁々発止やり合う相棒ものとしての魅力はもちろん、息子たちへの愛と贖罪(しょくざい)の物語でもある点は見逃せない。2人の主人公をとことん追いつめる敵に、まるでサム・ペキンパー映画ばりの血と暴力で立ち向かい、すべてを焼き尽くすクライマックスの死闘が胸を打つ。