鬼人幻燈抄 : 1 葛野編 水泡の日々
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3.8 • 11件の評価
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発行者による作品情報
江戸時代、山間の集落葛野には「いつきひめ」と呼ばれる巫女がいた。よそ者ながら巫女の護衛役を務める青年・甚太は、討伐に赴いた森で、遥か未来を語る不思議な鬼に出会う――江戸から平成へ。刀を振るう意味を問い続けながら途方もない時間を旅する鬼人を描いた、和風ファンタジー巨編の第1巻。デビュー作にして絶賛の嵐だった話題作が、早くも文庫化!
APPLE BOOKSのレビュー
小説投稿サイトの連載で人気を博した和風ファンタジー巨編。父の虐待から逃れるために家を出た甚太と鈴音の兄妹が、製鉄を生業とする葛野の巫女守に拾われる。葛野では「いつきひめ」と呼ばれる巫女が信仰を集め、巫女守とはその護衛役で、里を狙う鬼を退治するという役目も負っていた。成長した甚太は、いつきひめとなった幼なじみの白雪を守るため巫女守となり、妹の鈴音はそんな2人が結ばれることを願っていた。しかし、1匹の鬼が里を襲った時、兄妹の人生は大きく変わり、170年もの時をかける苦難の旅が始まる。全14巻にわたる長編小説の第1巻で、デビュー作でありながら緻密な構成力と筆力に圧倒される。人と鬼それぞれの思いが入り乱れ、過酷な運命を背負った主人公の苦悩に共感しながらも、読後にはどこか温もりが感じられる。江戸時代に始まり、幕末、明治、大正、昭和、平成へと続く、時代小説とも伝奇小説ともくくれない、壮大な大河ロマンの序章であり原点ともいえる物語。