8つの完璧な殺人
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発行者による作品情報
雪嵐の日、ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年ほど前、もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な殺人が登場する犯罪小説8作を選んで、ブログにリストを掲載していた。ミルン『赤い館の秘密』、クリスティ『ABC殺人事件』、ハイスミス『見知らぬ乗客』、アイルズ『殺意』……。捜査官によると、そのリストの“完璧な殺人”の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従って殺しているのか? 著者のミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作長編!/解説=千街晶之
APPLE BOOKSのレビュー
『そしてミランダを殺す』のピーター・スワンソンがそのミステリーマニアぶりを遺憾なく発揮した本格推理小説。ある日、ミステリー専門書店の店主マルコムの下をFBI捜査官のマルヴィが訪れる。彼女が言うには、マルコムが昔書店ブログに書いた「完璧なる殺人8選」というリストに挙げた作品と似通った未解決殺人事件が続いているというのだ。“犯罪小説で描かれた完璧な殺人”というテーマで書いたそのリストでは『赤い館の秘密』(A・A・ミルン)、『ABC殺人事件』(アガサ・クリスティ)、『見知らぬ乗客』(パトリシア・ハイスミス)など8冊の本を紹介していた。マルヴィは地域で起きた未解決殺人のリストをマルコムに手渡すと、その八つの小説に結びつきそうな事件があれば教えてほしいと頼む。犯人は本当にマルコムのリストを基に殺人を犯しているのか。そして、マルコムの手記という形で進んでいく物語だが、マルコムは「信用できる語り手」なのか。物語が中盤に差し掛かるころにはとある秘密があらわになり、一層先の読めない展開となっていく。本作では「完璧なる殺人8選」のねたばらしがあるので、紹介されている本を読もうと思っていた人は、そちらから読むことをおすすめしたい。