殺しへのライン
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- ¥1,200
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発行者による作品情報
『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催される文芸フェスに参加するため、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見される。椅子に手足をテープで固定されていたが、なぜか右手だけは自由なままで……。傑作『メインテーマは殺人』『その裁きは死』に並ぶ、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!/解説=若林踏
APPLE BOOKSのレビュー
秘密主義の名探偵ホーソーンと作家アンソニー・ホロヴィッツのコンビによる、正統派謎解きミステリーの第3弾。『メインテーマは殺人』で自らの活動を記録するよう依頼したホーソーンと、素人推理を口にしては捜査に支障をきたすホロヴィッツによる掛け合いで笑わせたのが前2作だった。3作目ともなるとホロヴィッツが名探偵を尊重しようと言動を慎むが、その分モノローグが多い。それに伴いミスリードの罠も増えているので、注意して読み進めたい。新設されたブックフェアに招待された2人は、ロンドンを離れて暗い歴史を持つ孤島のオルダニーにやって来る。ブックフェアに招待された他のゲストの紹介や、島が抱える問題などがフォーカスされ、なかなか事件が起こらないのが妙味といえよう。なにより、刑事時代のホーソーンの過去が明らかになり、次回作への足掛かりも提供されるなど、ファンを離さない仕掛けがたっぷり。伏線回収の鮮やかさ以上に心に残るのは、ホーソーンの人間味と読みの深さ。第3弾にして新たな世界を見せてくれた。