カササギ殺人事件 上
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4.1 • 63件の評価
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- ¥1,100
発行者による作品情報
1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!
APPLE BOOKSのレビュー
冒険小説やミステリーを上梓し、ドラマの脚本家も務めるイギリスの人気作家アンソニー・ホロヴィッツの「カササギ殺人事件 上・下」。本書は、名探偵アティカス・ピュントが活躍する作中作と、この小説の作家を担当する編集者の周囲で起きる出来事が入れ子構造になり、2つの事件の犯人探しをするという独創的な推理小説。作中の小説は1955年のロンドン郊外の小さな村が舞台で、貴族の豪華な住まいや美しい森など、古典的な英国探偵小説を思い起こさせる。登場人物にアガサ・クリスティの小説にちなんだ名前を付けたり、数え歌を使うなど、彼女へのオマージュが込められた巧妙な技法にも注目。そして緻密な計算とともに、実際の事件と絡まっていく展開に思わず息をのむ。どちらの事件も登場人物それぞれの思惑や行動が複雑に交差する様子を丁寧に描き、しかも謎解きの手掛かりと目くらましが適所にちりばめられている。雰囲気の異なる2つの物語と、それぞれの事件を解き明かす楽しさを満喫できる長編ミステリー。