Cocoon 修羅の目覚め
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- ¥700
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発行者による作品情報
誰もが振り返る美貌の花魁、瑠璃。
だが、その裏の顔は江戸に現れる鬼を退治する組織「黒雲(こくうん)」の頭領。
髪結いでありながら錫杖で戦う錠吉や、料理番でありながら金剛杵を操る権三、結界をはることのできる幼い双子、豊二郎・栄二郎とともに、江戸に現れる鬼を退治する。
ある時、千住に出没する鬼を退治してほしいとの依頼が舞い込む。
どうやら、殺された男たちは皆、同じ手ぬぐいを持っていたというが……。
瑠璃は、千住の鬼を退治することができるのか?
そして明かされる、瑠璃の悲しき宿命とは――。
この夏大注目のシリーズ第一弾!
APPLE BOOKSのレビュー
江戸にはびこる鬼を退治する闇の組織「黒雲」の頭領という裏の顔を持つ、吉原の花魁、瑠璃の活躍を描いた伝奇アクション。シリーズ第1作となる本作では、瑠璃と同じ人気花魁で心を通わせていた朋輩、津笠が失踪したことから始まる、壮絶にして悲しみに満ちた闘いを描く。表紙はライトノベル風だが、シリーズ化を提案したという花村萬月をはじめ、朝井まかて、石田衣良、伊集院静などそうそうたる面々がその筆力を認めた本格派時代伝奇小説だ。吉原の精緻な描写、脇を固めるキャラクターの設定、躍動感あふれるアクション描写、そしてキャラクター小説としての魅力でぐいぐいと読ませるページターナー。この世ならぬ存在との闘いとくれば、なくてはならないのが小道具の設定。本作では鬼を斬る妖刀「飛雷」や、瑠璃が使役する強力無比な傀儡(かいらい)「楢紅」など、けれん味たっぷりの趣向が凝らされている。猫又や油すましといった妖怪たちの登場も興趣を添え、尋常ならざる世界に生きる瑠璃だからこそ感じ取れる、心の機微や叙情も印象に残る。瑠璃の出生にまつわる背景の壮大なスケール感も読者を魅了することだろう。