QED 百人一首の呪
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3.2 • 16件の評価
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- ¥950
発行者による作品情報
百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて……。関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!?
APPLE BOOKSのレビュー
百人一首にダイイングメッセージが込められた殺人事件の謎を解き明かす『QED 百人一首の呪』。薬剤師の主人公、桑原崇が古文、歴史、人物に隠された謎を解く人気QEDシリーズの第1作となる。百人一首のコレクターであり、貿易会社サカキトレーディングの社長であった真榊大陸が、家族が集まる年に一度のその日に何者かに自宅の屋敷で殺害される。彼の右手に握りしめられていたのは一枚の百人一首の札だった。「白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける」。邸内にいたのは2人の息子と2人の娘、秘書2人と住み込みのハウスキーパー。長女の玉美に容疑がかけられたが、自分が父を呪い殺したと言い残し、数日後に首をつった状態で発見される。彼女の死は自殺なのか他殺なのか。ジャーナリストの同級生に巻き込まれ、なぜかこの事件の謎に足を突っ込むこととなる薬剤師の崇と奈々。百人一首が作られた歴史や謎、そして歴史やそれぞれの歌に込められた意味や秘密までさかのぼって深掘りし、新しい解釈をも見つけ出すという、驚くべく崇の謎解きがこの小説の見どころだ。この作品を推理小説と言い切るにはまだ早い。平安、鎌倉時代に作られた百人一首という壮大な謎に踏み込む歴史ミステリーともいえるのではなかろうか。