冬期限定ボンボンショコラ事件
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- ¥880
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発行者による作品情報
小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。/解説=松浦正人
APPLE BOOKSのレビュー
米澤穂信の人気推理小説「小市民」シリーズの第4弾となる『冬季限定ボンボンショコラ事件』。『春期限定いちごタルト事件』から続いた四季シリーズの区切りとなる本作では、高校3年生になった小鳩常悟朗の身に起きたシリーズ最大となる事件が描かれている。中学の時に自身がしでかしたある出来事から謎を解きたがる癖を控え、小市民を目指すようになった小鳩と同級生の小佐内ゆきは“互恵関係”を結んだ少し複雑なカップル。2人が下校している途中、センターラインを越えて近づいてきた車から小佐内をかばった小鳩がひき逃げに遭ってしまう。気付けば病院のベッドの上にいて、寝返りもままならない状態。だが彼が寝ている時に限って、小佐内が病室に来ているようなのだ。彼女が残した「ありがとう。ごめんなさい。ゆるさないから」というメッセージ。どうやら小佐内は犯人を捜し出そうとしているらしい。身動きが取れない小鳩は、彼が小市民を志すきっかけとなった、原罪ともいえる中学時代のあるひき逃げ事件と向き合い始める。過去と現在のひき逃げ事件が交差しながらつながり、ラストにかけて畳み掛けていく展開が鮮やか。