ハンチバック
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4.4 • 8件の評価
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- ¥660
発行者による作品情報
23の国と地域で翻訳決定! 芥川賞受賞作
【2025 国際ブッカー賞ロングリスト】【2025全米図書賞・翻訳文学部門ロングリスト】に選出!
23の国と地域で翻訳決定。話題沸騰の芥川賞受賞作がついに文庫化!
「私の身体は生きるために壊れてきた。」
井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。
ある日、グループホームのヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し――。
【文庫版の特徴】
・ルビを大幅に増やしました。
・著者が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。
単行本 2023年6月 文藝春秋刊
文庫版 2025年10月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
APPLE BOOKSのレビュー
第169回(2023年上半期)芥川賞受賞作 - 生きることへの覚悟を迫られるような、類いまれなるすごみに満ちた作品だ。背骨がS字に湾曲する重度の障がいがある主人公の井沢釈華。彼女は両親が遺したグループホームに住みながら有名私大の通信課程で学び、細々とネット記事を書く生活を続けている。湾曲した背骨は肺を圧迫し、切開した喉は痰(たん)の吸引が欠かせない。釈華にとっては歩くことや食べることはもちろん、書くことも多大な肉体的苦痛を伴う。それでも彼女は書き続け、「普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢」とSNSで呟いていた。しかし、そんな彼女の匿名アカウントを男性ヘルパーの田中が特定したことから、事態は大きく動き出していく。一人称の語り口はひょうひょうとしたユーモアすら感じさせるものだが、その内側から釈華の狂おしいほどの性の渇望と衝動があふれ出すさまに圧倒させられる。本作で鮮烈なデビューを飾った市川沙央は、自身も釈華と同じ障がいがある。ページをめくるたびに釈華と市川の“命”がギシギシと軋みながら共鳴し、熱く、力強く脈打つのを感じるはずだ。文字を“書く”という行為に彼女たちが全力で挑む姿に、文字を“読む”という行為の重みをも再確認させられる。