アルプス席の母
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
まったく新しい高校野球小説が、開幕する。
秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!?
補欠球児の青春を描いたデビュー作『ひゃくはち』から15年。主人公は選手から母親に変わっても、描かれるのは生きることの屈託と大いなる人生賛歌! かつて誰も読んだことのない著者渾身の高校野球小説が開幕する。
APPLE BOOKSのレビュー
名門高校野球部の補欠部員を描いた『ひゃくはち』でデビューした早見和真が、コロナ禍で甲子園が中止になった夏の球児と監督に取材したノンフィクション『あの夏の正解』を経て、再び高校野球をテーマに選んだ快作。ただし、今度の主人公は球児の母親。秋山菜々子は夫に先立たれ、女手一つで息子の航太郎を育てている。中学3年生の航太郎は湘南のシニアリーグで活躍するエースピッチャーだが、目標とする大阪の強豪校、山藤学園からは声がかからず、大阪の新興校、希望学園に進学する。寮生活を送る航太郎と一緒に住めないにもかかわらず、神奈川から大阪へ移住する菜々子。甲子園を目指し、新生活を始めた2人の3年間の行く末を描く。野球をそれほど知らない母親の目線が新鮮で、禁止事項だらけの父母会心得や強烈なマウント、監督が絶対という理不尽さ、果ては裏金問題に至るまで、高校野球特有のグラウンド外にある出来事は極めてリアル。だが、誰かを裁く物語ではない。敵対した人物にも思いがあることを知り、菜々子は高校球児の母親として成長していく。試合の描写や、息子の思わぬ言葉も感動を呼ぶ出色の野球小説であり、家族小説だ。
カスタマーレビュー
チョットドロドロでも良かった
途中から、監督と親、そして親同士のどろどろ感がすごかったけど、最後はいい方向にまとまった。