ガラスの絆
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2.0 • 1件の評価
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- ¥200
発行者による作品情報
短編の腕利きが手がけるホラーコレクションの第2話。語り手の「博美」は、「自分が一人っ子だ」と意識した日を今でも覚えている。小学二年生の頃だ。「どうして、わたしにはきょうだいがいないの?」「弟がほしい」と言って母親を困らせた。いたいけな願いは、その後、思いがけない経緯で実現する。中学入学の直前、両親は離婚し、家を出ていった実母は再婚して男児を産んだという。10歳以上、歳の離れた異父弟「隆志」だった。「博美」は父親と、父方の祖母と一緒に暮らすようになったが、意外にも母親を恨む気持ちは抱かなかった。愛された記憶が強かったのだ。「博美」は女子大を卒業し、絵の具メーカーに就職。一人暮らしを始めて仕事に没頭し、気がついてみると36歳、未婚。祖母、再婚していた父親も亡くなると、まだ一度も会ったことのない「隆志」から手紙が届き、人生の転機がやってくる。血のつながりを問い、家族のありように迫って怖い。
新津きよみ(にいつ・きよみ)
長野県生まれ。青山学院大学を卒業後、旅行代理店勤務などを経て、1988年に作家デビュー。巧妙な心理サスペンスや、日常に根ざした質の高いホラーに定評がある。短編の名手としても名高く、数多くのアンソロジーに作品が収録されている。映像化作品に『トライアングル』『ふたたびの加奈子』など。近刊に、『二年半待て』(徳間文庫大賞2018)『シェアメイト』『誰かのぬくもり』『夫が邪魔』などがある。