半身半疑
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- ¥200
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発行者による作品情報
なんでもないはずの日常に潜む闇をえぐり出す、練達の作家によるホラー短編コレクションの第1話。さいたま市内の調剤薬局に勤務する真砂子は、医療関係者が集まると聞かされた合コンで寛之と出会った。設計事務所に勤める寛之は、新規開業するクリニックの設計を手がけた縁で、その場にいた。三年間の交際を経て、二人は結婚。夫婦共働きの新婚生活は快適そのもの。夫になった寛之は思いやりがあり、家事の分担もすすんでやってくれる。そんな夫に対して、唯一つと言っていい気がかりを真砂子は感じていた。寛之の六歳上の姉・治美の存在だ。治美は高崎市の実家で両親と暮らしていて、未婚だった。寛之は治美にどうにも頭が上がらない。母親が病弱だったため、治美は若くして家事全般を担ってきた。いや、それ以上に姉弟の間には強い絆が存在した。やがて三十歳を過ぎ、真砂子は待望の妊娠を果たしたが……。女性の深層心理に肉薄して、背筋が粟立つほど怖い。
新津きよみ(にいつ・きよみ)
長野県生まれ。青山学院大学を卒業後、旅行代理店勤務などを経て、1988年に作家デビュー。巧妙な心理サスペンスや、日常に根ざした質の高いホラーに定評がある。短編の名手としても名高く、数多くのアンソロジーに作品が収録されている。映像化作品に『トライアングル』『ふたたびの加奈子』など。近刊に、『二年半待て』(徳間文庫大賞2018)『シェアメイト』『誰かのぬくもり』『夫が邪魔』などがある。