テロルの決算
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3.9 • 15件の評価
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発行者による作品情報
本作はもはや伝説。沢木耕太郎の最高傑作がついに電子書籍化!
あのとき、政治は鋭く凄味をおびていた。ひたすら歩むことでようやく辿り着いた晴れの舞台で、61歳の野党政治家は、生き急ぎ死に急ぎ閃光のように駆け抜けてきた17歳のテロリストの激しい体当たりを受ける。テロリストの手には、短刀が握られていた。社会党委員長・浅沼稲次郎と右翼の少年・山口二矢――1960年、政治の季節に交錯した2人のその一瞬、“浅沼委員長刺殺事件”を研ぎ澄まされた筆致で描き、多くの人々の心を震わせたノンフィクションの金字塔。第10回(1979年)大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
珠玉のノンフィクション作品を送り出してきた作家・沢木耕太郎が20代の終わりに放った渾身作「テロルの決算」。1970年代末、すでに風化しつつあった浅沼稲次郎刺殺事件を独自の視点と徹底的な調査で掘り起こし、凶器を手にした17歳のテロリストが老政治家の命を奪うまでの過程を再現する。入念な取材に裏打ちされた臨場感あふれる筆致は、それまで多く語られてこなかった山口二矢という少年に確固たる人格を与え、圧倒的なリアリティーを伴った人物像を浮かび上がらせる。また、事件と向き合う沢木本人の若さゆえのエネルギーも本書の魅力の一つ。作家の熱を帯びた文体に、読者はまるでその場に居合わせた目撃者のような感覚を得ながらページをめくることになる。沢木のその後のキャリアを決定づけた重要な1冊であり、日本のノンフィクション史においても欠くことのできない傑作。