フェイク・マッスル
-
- ¥1,900
-
- ¥1,900
発行者による作品情報
独自の世界で勝負できる書き手だと思う。--東野圭吾
頭抜けて面白かった。--綾辻行人
まんまと作者の術中にはまった。ーー有栖川有栖
エンタメとして読ませるテンポの良さも素晴らしい。ーー辻村深月
潜入取材シリーズとなれば喜んで追っていきたいと思います。――湊かなえ
あらすじ
たった3ヵ月のトレーニング期間で、人気アイドル大峰颯太がボディービル大会の上位入賞を果たした。SNS上では「そんな短期間であの筋肉ができるわけがない、あれは偽りの筋肉だ」と、ドーピングを指摘する声が持ち上がり、炎上状態となってしまう。当の大峰は疑惑を完全否定し、騒動を嘲笑うかのように、「会いに行けるパーソナルジム」を六本木にオープンさせるのだった。
文芸編集者を志しながら、『週刊鶏鳴』に配属された新人記者・松村健太郎は、この疑惑についての潜入取材を命じられ、ジムへ入会する。馬場智則というベテラン会員の助力を得て、大峰のパーソナルトレーニングを受講できるまでに成長。ついに得た大峰との一対一のトレーニングの場で、ドーピングを認める発言を引き出そうとするが、のらりくらりと躱されてしまう。あの筋肉は本物か偽物か。松村は、ある大胆な方法で大峰をドーピング検査にかけることを考え付くのだが――?
フェイクが氾濫する時代の、「真実の物語」が始まった。
APPLE BOOKSのレビュー
新人記者によるトレーニング必須の潜入取材を描いたユーモアミステリー。念願かなって老舗出版社に就職した松村健太郎は、希望していた文芸とは程遠い週刊誌に配属されていた。過酷な週刊誌の記者生活。松村は適性のなさとやる気のなさから新卒2年目ながら使えない記者として見られていたが、ある日編集長から潜入取材を命じられる。それはボディビル大会で人気男性アイドル大峰颯太に浮上したドーピング疑惑を彼の経営するトレーニングジムに潜入して調査せよというものだった。ろくに運動経験のない松村だったが、希望部署への異動を前提に潜入取材を受け入れる。たった3か月のトレーニングでボディビルコンテストに入賞したという大峰に倣い、松村に与えられた期間も3か月。期間内にドーピング抜きで大峰並みの体になれるのかを自らの体で検証すべく、不慣れなトレーニングに励みながら大峰に近づくチャンスをうかがうことに。大峰の筋肉はドーピングの成果か、それとも努力の結果なのか。表紙とタイトルからして筋肉系全開な話なのかと思いきや、根っからの文系である松村の奮闘にドキドキさせられクスリと笑わされる良質のミステリーに仕上がっている。第70回江戸川乱歩賞を受賞。