



レジェンド歴史時代小説 琉球の風 上
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5.0 • 1件の評価
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発行者による作品情報
中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか? 独立をかけて抵抗するか? そして宗主国・明は助けてくれるのか? 生き残りを賭けて琉球の闘いが始まる。
APPLE BOOKSのレビュー
明と薩摩との間で揺れ動く琉球の人々を描いた壮大な歴史小説『琉球の風』。17世紀初頭、琉球では明から27年ぶりに冊封使(さっぽうし)を迎え、国内は沸き立っていた。一方、指導者たちは薩摩からの侵攻を察知し、意見が割れていた。当時の琉球は中国王朝と君臣関係にあることから、明国を親、薩摩を兄とし、両者と深い関係を築いていたが、いずれに属することなく独立国家を保っていた。明とは君臣関係にありつつも、内政干渉はなく、冊封と呼ばれる外交関係を結ぶことで、それに伴う“進貢”という名の貿易による経済的特典を享受していた。ところが薩摩の方では早くから琉球を附庸国とみなし、将来、自分の勢力下に取り込む=併呑(へいどん)を視野に入れていた。そして幕府の後ろ盾を得た今、薩摩は百年もの長きにわたり平和を享受してきた琉球に襲いかからんとしていたのだ。薩摩と戦わず屈するべきか、徹底抗戦すべきか。琉球人、渡来人、大和人、明国人、倭寇が入り乱れ、それぞれの思惑の下、琉球のあるべき姿への模索が始まる。国を奪われてなお、後世に残すべきは何か。国の在り方について深く考えさせられる作品。