三国志(完全版)
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3.8 • 88件の評価
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- ¥300
発行者による作品情報
(この本について)
この本には吉川英治の小説「三国志」の全編が収録されています。
全巻のそれぞれの章に索引を付け、目次からすぐに目的の章に飛ぶことができるようになっています。
「三国志」は吉川英治による歴史小説です。
新聞連載小説として、戦時中の一九三九年から一九四三年までほぼ四年間連載されました。戦後に単行本として刊行され、絶大な人気を博しました。中国の歴史小説『三国志演義』を下敷きにしていますが、特に人物描写は日本人向けに大幅に変えてあります。日本の三国志関連作品に大きな影響を及ぼしたと言われています。
なお、この作品は原典である『三国志演義』ではなく、湖南文山の『通俗三国志』を元にしているとも考えられています。
小説全体は以下の十巻から構成されています。
第一巻桃園の巻
劉備・関羽・張飛三人の出会いから、曹操による董卓暗殺未遂まで。『演義』の第一回から第四回にあたります。
第二巻群星の巻
曹操の逃亡から、李傕・郭汜による朝政壟断まで。『演義』での第四回から第一〇回程度にあたります。
第三巻草莽の巻
献帝の長安脱出から、下邳の戦いまで。『演義』ではだいたい第一〇回から第一九回に相当します。
第四巻臣道の巻
呂布の滅亡から、関羽が曹操の下を辞するまで。『演義』でいう第一九回から第二六回にあたります。
第五巻孔明の巻
関羽千里行から、三顧の礼・隆中対まで。『演義』では第二七回から第三七回あたりまでの展開となります。
第六巻赤壁の巻
孔明出蘆から、東南の風を祈るまで。『演義』での第三八回から第四九回あたりに相当します。
第七巻望蜀の巻
赤壁の戦いから、孫夫人が呉に戻るまで。『演義』での第四九回から第六一回にあたります。
第八巻図南の巻
曹操が魏公に昇ってから、関羽が樊城で于禁らを捕らえるまで。『演義』での第六一回から第七四回にあたります。
第九巻出師の巻
華佗の関羽治療から、孔明の第一次北伐出陣まで。『演義』では第七五回から第九一回あたりとなります。
第十巻五丈原の巻
第一次北伐から、孔明死後の魏延謀叛まで。『演義』では第九一回から第一〇五回にあたります。
(吉川英治について)
吉川英治は、一八九二(明治二十五)年に神奈川県に生まれました。小学校を中退しますが独学し、一九一〇年に上京します。一九二二年に東京毎夕新聞社に入社し、「親鸞記」等を執筆して、次第に文才を認められます。「キング」誌に発表した「剣難女難」で人気を得て、「坂東侠客陣」「神洲天馬侠」の二長編で人気を不動のものにします。一九三五年に「宮本武蔵」の連載を始め、かつてない人気を得ます。
戦後は、「新平家物語」を執筆し、第一回菊池寛賞を受賞します。その後「私本太平記」「新・水滸伝」を執筆。一九六〇年には文化勲章を授章しました。一九六二年、肺がんのため死去しました。
(歴史浪漫文庫について)
歴史浪漫文庫は、日本の時代小説、歴史小説を集めた文庫です。