五色の殺人者
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4.0 • 5件の評価
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- ¥1,700
発行者による作品情報
高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじ みずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった! ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが……。不可能犯罪の真相は、切れ味鋭いロジックで鮮やかに明かされる! 選考委員の満場一致で決定した、第30回鮎川哲也賞受賞作。/第30回鮎川哲也賞選考経過、選評=加納朋子 辻真先 東川篤哉
APPLE BOOKSのレビュー
目撃者により犯人の服の色が5色に変わるという不可解な謎を解くミステリー。高齢者介護施設、あずき荘で働く新米介護士のメイこと明治瑞希は、後頭部から血を流した老人の撲殺死体を発見する。5人の老人が犯人の姿を目撃したが、その証言では、なぜか犯人の服の色が緑、赤、黒、白、青と食い違う。さらに、施設の入り口は防犯カメラと警備員によって監視されており、犯行が可能なのは施設内にいた者だけ。しかし、凶器が見つからず、捜査は難航する。ミステリー好きを公言するメイは、容疑者として浮上した青年に片思いしている同僚のハルに頼まれ、素人の探偵として事件の真相を探るのだが…。介護施設での勤務経験がある作者によって、年中無休の高齢者介護施設での仕事と日常が明るくユーモラスに描かれており、それがミステリーの謎解きと鮮やかに結びついている。物語を通して等身大の女性探偵が右往左往し、後半からは恋愛要素もあるロマンチックサスペンスとして展開するのも魅力的だ。ミステリーのロジックと爽やかな読後感が両方楽しめる千田理緒のデビュー作。