劇場(新潮文庫)
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- ¥540
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発行者による作品情報
高校卒業後、大阪から上京し劇団を旗揚げした永田と、大学生の沙希。それぞれ夢を抱いてやってきた東京で出会った。公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、ままならない日々を送る永田にとって、自分の才能を一心に信じてくれる、沙希の笑顔だけが救いだった――。理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。
カスタマーレビュー
やんもの
、
演劇と恋愛
さすが、読書家。何かを表現する時の言葉選びがすごい。主人公が自分の道を進みすぎていて、周りにいたら面倒くさいと思う。って感じてしまう俺は多分演劇が好きでもないし、恋愛を演劇と似ているとは思わないんだろうな。
主人公の生き方も彼女の生き方もそんな生き方したくないって思ってしまった。感動はなかった。
ゲソかり
、
ラストシーンは涙
花火同様の職人気質の主人公を軸にして、本作で描かれたのは男女の愛情と、すれ違い、別れを予想させるラスト。
2人でいることが自然で、それだけで幸せだったのに、いつからか無邪気ではいられなくなり、2人でいることがお互いを苦しめる。よくある設定なのに、やはり芥川賞作家の紡ぐ文章は一つ一つがとても綺麗で、主人公の感情も細やかに描かれ、2人で思い出の台本を読むラストシーンには自然と涙が出た。
大人になるにつれ、素直でいることがどれほど大切なことか、そしてどれほど難しいことなのかを改めて考えさせられた。