去年の冬、きみと別れ
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発行者による作品情報
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は——。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!
APPLE BOOKSのレビュー
2人の女性を殺害した罪で起訴され一審で死刑判決を受けている35歳のアート写真家、美しき魔性の姉、そして亡くしたものを形にする人形師。作品は、本を書くために獄中の写真家を訪ねたライターによる口述伝記という体裁を取り、複雑に絡み合った人間模様と狂気の様相を描き出す。いたる所に張られた数々の伏線、登場人物たちの繊細かつ常軌を逸した行動と心理。謎が謎を呼び、物語は急展開に次ぐ急展開の連続で進行する。他者には到達出来ない "私達の領域" とは何を意味するのか?読み進めるうちに、タルコフスキーからの引用 - 人は自分の本性を知らずに一生振り回される - に翻弄されるのは、小説の登場人物たちではなく我々読者である事を知ることになる。「掏摸」の中村文則による洗練された文体で書かれた美しいミステリー傑作。