源氏物語 ー 橋姫
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4.5 • 10件の評価
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発行者による作品情報
『源氏物語』は、平安時代中期の女性作家、歌人、紫式部の作品。この作品は與謝野晶子に翻訳された。「47 橋姫」である。日本の長編物語、小説である。初出は1972(昭和47)年2月25日改版。
カスタマーレビュー
moshikamoshika
、
素晴らしい
衰えた皇族さえ描いた紫式部を皇族は恨んだに違いない。あまりにも赤裸々に描かれる貴族社会。この物語に眉を顰める人々が少なからずいたはずだ。にもかかわらず千年も語り継がれたのは「人生をかりそめと悟り、いとわしく思う心の起り始めるのも、その人自身に不幸のあった時とか、社会から冷遇されたとか、そんな動機によることですが、年がまだ若くて、思うことが何によらずできる身の上で、不満足などこの世になさそうな人が、そんなにまた後世のことを念頭に置いて研究して行こうとされるのは珍しいことですね。私などはどうした宿命だったのでしょうか、これでもこの世がいやにならぬか、これでも濁世を離れる気にならぬかと、仏がおためしになるような不幸を幾つも見たあとで、ようやく仏教の精神がわかってきたが、わかった時にはもう修行をする命が少なくなっていて、道の深奥を究めることは不可能とあきらめているのだから、年だけは若くても私の及ばない法の友かと思われる」と語る中で人の心を掴んだのだろうか。寂れた宇治の伊織で美しい娘に出会った薫はついに出生の秘密を知る。