灰の劇場
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2.9 • 9件の評価
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- ¥880
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発行者による作品情報
「飛び降り2女性の身元わかる」――始まりは、「三面記事」だった……新たな恩田陸ワールド、開幕。文庫版特別収録=「灰の劇場0-+」「文庫版あとがき」。
APPLE BOOKSのレビュー
直木賞作家、恩田陸による自身の事実とフィクションを重層的に織り交ぜたメタフィクション。“事実に基づく物語”を書こうとする作家、作中作で書かれた小説、その小説が舞台化される過程に立ち会う作家という3つのパートが同時進行する入れ子構造になっている。学生時代に友人だったある女性2人が橋から飛び降りて自殺した。40代半ばの2人は同居していたという。20年前、新聞の片隅で見たこの三面記事に引っ掛かっていた作家は、2人をモデルに小説を書けないかと考える。2人はなぜ一緒に暮らしていたのか? なぜ心中したのか? 名前も顔も知らないが、私は確かに2人を知っている…。虚構と現実の起点となる作家の創作過程を描くパートは、作家の思考過程をたどると同時に、偏愛する映画や演劇への批評も含んでいる。さらに、作者の生み出した虚構が現実を侵食する幻想的な瞬間もあって、単純な自殺の動機探しには陥らない。新聞記事から小説、そして演劇に至る“物語”の改訂は創作論として興味深いが、いつまでも続くかに思える日常の不確定性の象徴でもあるだろう。原因と結果より過程と雰囲気が大事だという作者が、時代の不安を捉えたオープンエンドな物語。
カスタマーレビュー
okayukaka
、
帯に惹かれた
斬新な設定というか入り、人や情景の描写が秀逸で綺麗。でもあまり入り込めず