砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet
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4.5 • 100件の評価
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- ¥600
発行者による作品情報
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日――直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
APPLE BOOKSのレビュー
直木賞作家、桜庭一樹がライトノベル作家から一般文芸作家に移行する原点となった衝撃作。子供と大人、痛みと快楽、現実と空想といった境界を想像力で行き来した切実な青春文学は、異例のロングセラーとなり、熱狂的な支持を得た。あたしの名は、山田なぎさ。13歳の中学2年生。ウサギとひきこもりの兄の飼育係。兄は夢みたいな容姿をした現代の貴族。猟師の父は10年前の嵐で死んだ。中学を出たらお金という“実弾”を得るために自衛隊に入るのが希望。都会からの転校生で、ぼくは人魚だと言い張る美少女の海野藻屑は、なぜか友達になってと言ってくる。嘘ばかりつく藻屑にはいらつくが、彼女は“砂糖菓子の弾丸”を撃っているのだと兄は言う。ある時、芸能人の父親に虐待されている藻屑の不幸に気付いたあたしは、初めて彼女のことを友達だと思ったのだが…。猟奇的にデフォルメされているものの、子供が安心を得られずに兵士となり、“空想の弾丸”で生き残りゲームを戦わざるを得ない世界の残酷さを描く、作者の筆致は鋭い。サイコロジカル・ミスディレクションの種明かしや、ストックホルム症候群と虐待の関係性など、兄のうんちくも面白い。
カスタマーレビュー
うん
ファミリーポートレイトを学生時代に読んだ事をふと思い出し
なんとなくこの小説を落としてみたのですが
やはり凄い。面白い。
仕事中でしたがイッキ読みでした。