私の男
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3.6 • 198件の評価
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- ¥720
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発行者による作品情報
私は腐野花(くさりの・はな)。着慣れない安いスーツを身に纏ってもどこか優雅で惨めで、落ちぶれた貴族のようなこの男の名は淳悟(じゅんご)。私の男、そして私の養父だ。突然、孤児となった十歳の私を、二十五歳の淳悟が引き取り、海のみえる小さな街で私たちは親子となった。物語は、アルバムを逆からめくるように、花の結婚から二人の過去へと遡ってゆく。空虚を抱え、愛に飢えた親子が冒した禁忌、許されない愛と性の日々を、圧倒的な筆力で描く直木賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
第138回(2007年下半期)直木賞受賞作。ライトノベルの『GOSICK』シリーズで注目され、ミステリー大作『赤朽葉家の伝説』が第137回直木賞初候補作となった桜庭一樹。2度目の候補で受賞した『私の男』は、養父と養女の奇妙でみだらな15年間を始まりの時までさかのぼるスキャンダラスな小説だ。養女である花の視点で描かれる第1章、冒頭の数行がいきなり読み手を魅惑する。“私の男”である淳悟への思慕と、雨の銀座で待ち合わせる描写で、ひらがなが多用されていることに違和感を抱くだろう。9歳の時に北海道奥尻島の震災で家族を失った花。遠縁にもかかわらず彼女を養女として迎えた16歳年上の淳悟。2008年6月から1993年7月までさかのぼる2人の過去が、6章にわたって語り手を変えながら明かされる。巧みな構成と、ミステリアスな淳悟の言動に、冒頭での違和感は弱くなるどころか強くなる一方。すさまじい傑作だ。2014年には浅野忠信、二階堂ふみ共演、熊切和嘉監督で映画化され、スキャンダラスな内容と熱演が話題となった。
カスタマーレビュー
かじゅ11
、
唯一無二
物心ついた頃から沢山の本を読んできて、これ以上の作品に未だに出逢えない。女性にしか書けない。大好き。