破戒
発行者による作品情報
1906(明治39)年、7年の歳月をかけて自費出版された島崎藤村の最初の小説。言われのない差別と偏見の中で生きた主人公・瀬川丑松は、「その生い立ちと身分を隠して生きよ」と父より戒めを受けて育つ。しかし、同じ宿命を持つ解放運動家の壮絶な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまった結果、偽善に満ちた社会に追い詰められた丑松は、テキサスへ向けと旅立っていく。被差別部落を主題としたテーマゆえに、日本自然主義文学の先駆けとなった作品と言われる。日露戦争後の文学運動の新しい旗であり、近代日本文学の頂点をなす傑作。夏目漱石は、「明治の小説としては後世に伝ふべき名篇也」と評価した。1913(大正2)年、新潮社が買い取り公に出版された。
カスタマーレビュー
さとうのおじ
、
忘れてはならない過去を淡麗な文章で訴える名作
今の人たちも忘れてはならない過去に起きていた差別とそれに乗り越えてきた人々がいた事を文章の淡麗さと迫力が際立った見事な小説でした。