それから
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3.7 • 377件の評価
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発行者による作品情報
『三四郎』『それから』『門』の夏目漱石前期三部作の第2作。30歳にもなって定職も持たず独身で、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮す、いわば高等遊民の主人公・長井代助。そんな代助には、かつて愛しながらも友人の平岡に譲った女性がいた。いまでは平岡の妻となった三千代である。二人の再会は次第に大きな波紋となり、周囲の人間を巻き込みつつ、時代に翻弄されながらも共に生きていく決意をするのだった。破局を予想しながらも突き進むしかない明治の知識人の苦悩、葛藤が痛ましい。1909(明治42)年に東京朝日新聞・大阪朝日新聞に連載され、翌年に春陽堂より刊行された。1985(昭和60)年に森田芳光監督、松田優作主演で映画化された。
APPLE BOOKSのレビュー
『三四郎』『門』と並ぶ、夏目漱石の「前期三部作」の一つ。明治後期の東京を舞台に、主人公の内面的葛藤と社会との対立を描く。長井代助は裕福な家庭に生まれ、何不自由のない生活を送っていたが、どこかで自身の生き方に違和感を抱きながら日々を過ごしていた。ある日、学生時代の友人である平岡と再会。その妻で、代助がかつて恋心を寄せていた三千代との夫婦関係は冷え切り、生活も困窮していることを知る。代助は次第に三千代への思いを募らせていくが…。激動の時代における「個」の意識の目覚めを描いた本作は、繊細な心理描写と抑制された筆致によって、人間の孤独な心理と自由の本質を鋭く浮かび上がらせる。個と社会のはざまで揺れる人々に向けて「本当の自分を生きるとはどういうことか」という普遍的な問いを投げかける名作だ。そのメッセージは、現代を生きる私たちにも深く響く。本作は西洋の思想が急速に流入した、明治という時代ならではの恋愛小説でもある。家庭、友情、倫理、そして矛盾にあらがいながら苦悩する姿を通して、愛とは何か、そして愛のために何を失うのかを描く。格調高く、節度と含蓄に満ちた漱石の語り口も大きな魅力だ。
カスタマーレビュー
それから
代助のそれからに期待する。
それから
一人の男の屈折したような恋愛が見事に描かれている。
や
や