神戸栄町アンティーク堂の修理屋さん
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- ¥580
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発行者による作品情報
仕事と恋に疲れた高橋寛人は、亡き祖父のアンティークショップを継ぐために神戸に移り住んだ。そこで出会ったのは、お店を間借りしている修理職人の後野茉莉。古い物に全く興味のない寛人だが、茉莉が修理をするモノに触れているうちに、“過去”を修理する勇気をもらう…茉莉のもとには、今日も様々な修理の依頼が届いてくる。
APPLE BOOKSのレビュー
神戸のアンティークショップを舞台に描いた、人と物との出会いが織りなすハートウォーミングストーリー。東京の大手広告代理店でデザイナーとして働いていた高橋寛人は、両親の離婚以降「友人」として付き合っていた祖父の万(よろず)から相続したアンティークショップを守るため、会社を辞め神戸へと移住する。10年ぶりに訪れた店には、後野茉莉(あとのまつり)と名乗る修理職人の女性が間借りしていた。古い物にまったく興味がなく、店の商品もガラクタにしか見えない寛人だが、茉莉の元に集まるさまざまな物が修理されていく過程や、自分にできることは当たり前のように人に与えようとする彼女の姿勢を知るうちに、徐々に物に込められた思いに気付くようになっていく。真面目で不器用な寛人が、華奢(きゃしゃ)ではかない印象ながらもサバサバした性格の茉莉に背中を押されながら、少しずつ自己肯定感を修復していく。昨日までは寛人にとってガラクタだったものが、その来歴を知ることで、力をもらえる大切なものへと変化していく様子がほほ笑ましい。2人の関係性がどう変化していくかも楽しみなシリーズだ。