聖の青春
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- ¥880
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発行者による作品情報
重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指す弟子のために、師匠は彼のパンツをも洗った。弟子の名前は村山聖(さとし)。享年29。将棋界の最高峰A級に在籍したままの逝去だった。名人への夢半ばで倒れた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞作(講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
大崎善生のデビュー作となったノンフィクション小説『聖の青春』。将棋の名人位を目指しながら29歳の若さでこの世を去った棋士、村山聖の生涯をつづる。1969年に広島で生まれた村山聖は、ネフローゼ症候群という重い腎臓病を患い、幼少期から多くの時間を病院のベッドの上で過ごした。そこで出会ったのが将棋だった。瞬く間に実力をつけ、奨励会を驚異的なスピードで駆け抜けた村山は、「東の天才・羽生善治、西の怪童・村山聖」と呼ばれるほどの存在感を発揮していく。しかし1998年、最高峰のA級に在籍したまま、志半ばにして他界した…。愛嬌(あいきょう)あふれる風貌で“肉丸君”と親しまれた、純粋で強情でユーモラスな村山聖。少女マンガとミステリー小説を読みふけり、すてきな恋に憧れる姿は等身大の若者だ。しかし、類まれな才能で周囲を圧倒していく道のりは、まさに命懸けの苦闘があった。深い絆で結ばれた師匠森信雄、献身的に尽くした家族、ライバルでもある仲間たちとのエピソードとともに刻まれた、一人の棋士の生きた証。映像化もされたその青春の軌跡は、読む者の心に深く残るだろう。