統合失調症の一族 遺伝か、環境か
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4.4 • 5件の評価
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- ¥3,600
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発行者による作品情報
第二次大戦後、ギャルヴィン一家はコロラド州に移住し、12人の子宝に恵まれた。しかし子どものうち6人に異変が起きる。修道士のようにふるまう長男、自分はポール・マッカトニーだと言い張る末っ子……。彼らはなぜ統合失調症を発症したのか。家族の闇に迫る
APPLE BOOKSのレビュー
12人の子どもに恵まれながら、そのうち6人が統合失調症を発症した一家の年代記にして、いまだに解明されていない統合失調症の原因究明に取り組んだ研究者たちの活動を描いたノンフィクション。第2次世界大戦後のアメリカ、コロラド州に居を構えたギャルヴィン一家。空軍士官学校に勤務する父親は趣味でタカ狩りをし、絵画やオペラなど芸術を嗜(たしな)む母親は完璧に家事をこなす。10人の息子、娘が2人の大家族。だが、長男をはじめ、6名の息子が次々に統合失調症と診断される。妄想に支配され、繰り返される入退院。やがて起こる思わぬ悲劇や、幼い姉妹への性的虐待。長男の発症から半世紀以上に及ぶ一家の壮絶な歴史をたどりながら、古くはユングとフロイトによる、発症の原因は遺伝か環境かの論争に始まる、統合失調症への研究の歴史をひもとき、研究者たちが遺伝的要因を突き止める上で、この家族が重要な役割を果たしたことも明かされる。理不尽で過酷な環境を生き抜いた末娘の子どもが、最後に選択した道も胸を打つ。世にもまれな家族の歴史と精神医療史が交錯し、悲しみを乗り越えて希望を抱くさまが描かれる感動の書。