火星の女王
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4.0 • 1件の評価
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- ¥2,000
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発行者による作品情報
NHKドラマ化原作、火星と地球をめぐる壮大なヒューマンドラマ
地球外知的生命の探求のために人生をかけて火星にやってきた生物学者のリキ・カワナベは、とある重大な発見をする。いっぽう火星生まれの少女、リリ-E1102は、地球へに観光を夢みて遠心型人工重力施設に通っていた。様々な人の想いが交錯する人間ドラマ。
APPLE BOOKSのレビュー
『ゲームの王国』『地図と拳』の小川 哲が100年後の火星を舞台に描いたSF長編。人類の移住開始から40年が経過した2125年、火星の人口は10万人に達しているが、当初期待されたレアメタルの採掘は採算が合わず、ISDA(惑星間宇宙開発機関)は地球帰還計画を採択し、火星からの段階的な撤退が進行している。だが、耐放射線物質スピラミンの結晶構造が光速を超える速さで同期して変化するという、生物学者リキ・カワナベの発見が状況を一変させる。一方、火星生まれの学生リリ-E1102は、かつて火星を訪れたISDA職員の白石アオトとの地球での再会を夢見ていたが、スピラミンの研究を巡る火星と地球の攻防から生じた誘拐事件に巻き込まれ、自治警察の捜査員マルが事件を追う。主要人物4人の視点が短い章立てで切り替わる群像劇だが、結末に至るまで加速しながら、まるでスピラミンの超光速通信のように同期する小説構造が見事。光は遅すぎるというテーマも秀逸で、それが事態を悪化もさせ、解決にも導くのが素晴らしい。火星と地球の戦争危機、分断、差別、独立を扱いながらも希望を失わない、新たなSF名作。