太宰治の女たち
-
- ¥300
-
- ¥300
発行者による作品情報
落伍者のフリした、人間関係の天才。
男女の疑問は、太宰に聞け!
生身の女に全身でぶつかり、太宰治は三十九歳で死んだ。
太宰治の、文学上の共犯者となった「五人の女たち」
最初の心中相手で、一人絶命した「田部あつみ」
最初の妻で不貞をはたらき離縁された「小山初代」
『ヴィヨンの妻』の“椿屋のさっちゃん”のモデルで、二番目の妻「津島美知子」
『斜陽』のために自分の日記を提供した「太田静子」
玉川上水で太宰との心中を遂げた「山崎富栄」
二十一歳の太宰治が心中を試みた時、相手の女・田部あつみは、死の直前で他の
男の名前を叫んだ。それに気づいた彼は、二人を固く結んでいた手首の紐を断ち
切って、一人生き残る。太宰治の小説はすべて、女の嘘から始まったのであり、
常に生身の女を描いたものだった──。太宰治の作品と人生、そして、そこに介在
し小説モデルにもなった五人の女たちを紹介しながら、男女の機微をも読み解く
画期的な一冊!!
APPLE BOOKSのレビュー
「走れメロス」等の代表作で知られる文豪・太宰治を、男女の視点から読み解く文芸論「太宰治の女たち」。彼が関わった5人の女性を取り上げ、それぞれの逢瀬が当時執筆していた作品にどのような形で反映されたかをたどる。結婚や心中未遂のエピソードに見られる言動と、小説での表現からうかがえる心情を突き合わせ、よりリアルに太宰治像を立ち上げてゆく。「人間失格」等に描かれた男女の繊細なやり取りや己の弱さが、いかに切実なものだったかを感じとることができ、太宰作品の読み方が変わる。著者はミュージシャンとして活動しながら多くの小説やエッセイを執筆する作家、山川健一。自身や友人の体験談を織り交ぜながら、太宰の振る舞いを現代の事情に置き換えて解説する。軽妙で親しみやすい語り口は読みやすく、従来の太宰治ファンにも新たな発見をもたらす1冊となるはず。