ソクラテスの弁明 クリトン
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- ¥530
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発行者による作品情報
自己の所信を力強く表明する法廷のソクラテスを描いた『ソクラテスの弁明』.死刑の宣告を受けた後,国法を守って平静に死を迎えようとするソクラテスと,脱獄を勧める老友クリトンとの獄中の対話『クリトン』.ともにプラトン初期の作であるが,芸術的にも完璧に近い筆致をもって師ソクラテスの偉大な姿を我々に伝えている.
APPLE BOOKSのレビュー
紀元前4世紀、古代ギリシャにおいて活躍した哲学者プラトンが著した「ソクラテスの弁明 クリトン」。対話形式によって記されている本書は2部構成となっており、前半の"ソクラテスの弁明"では、哲学の祖ともいわれ、プラトンの師に当たるソクラテスが、思想的な対立から不当に訴えられ、アテネの法廷で死刑を宣告されるまでの言動を記述。後半の"クリトン"では、監獄を舞台に、旧友であるクリトンとの対話の中から、正義を実践することの意味について描かれている。実際に著者が裁判の傍聴席などで耳にした内容が忠実に再現されていることもあって、その文章には、優れた法廷劇を読んでいるような緊迫感が漂う。多くの陪審員や友人に向けて、毅然(きぜん)と語られる数々の言葉には、人間としてより良く生きていくための知見が凝縮されており、読後には、自分自身の内面と向き合い、人生を力強く切り開くために必要な手掛かりを得ることができる。本書は1927年に日本で最初に出版されて以来、数回にわたって改版を繰り返しながら、現代まで読み続けられているという点でも、哲学史上に残る不朽の名作といえる。