レペゼン母
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4.9 • 8件の評価
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- ¥1,100
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発行者による作品情報
マイクを握れ、わが子と戦え!
山間の町で穏やかに暮らす深見明子。
女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。
そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。
「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」
明子はマイクを握り立ち上がる――!
『晴れ、時々くらげを呼ぶ』『檸檬先生』などで最注目の新人賞から、今年も文芸界のニュースターが誕生!
第16回小説現代長編新人賞受賞作。
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選考委員も激賞!
こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻!
――朝井まかて
「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。
――宮内悠介
APPLE BOOKSのレビュー
社会人生活を半年で辞めて放浪生活を送り、和歌山の梅農園でアルバイトした経験を持つ宇野碧の長編小説デビュー作『レペゼン母』。どんな女性なら激しく攻撃し合うMCバトルの勝者になれるのか。著者の中から生まれたその答えが、本作の主人公、和歌山の梅農園を経営する明子64歳である。彼女は、30年前に夫が遺した梅農園を受け継ぎ、梅の仕事に没頭しすぎて一人息子の雄大を駄目な男に育ててしまった。そんな明子が雄大の3番目の妻、沙羅の影響でラップを知った。韻を踏み、選び抜いたパンチラインとフロウで相手を撃沈させる真剣勝負は、普段使わない思考回路を刺激し、明子の視界を広げてゆく。ラップと中年女性という異色の組み合わせからコメディを予想していると、鮮やかに裏切られる。泥臭くて押し付けがましい母の愛、期待に応えられない息子の叫びの痛々しさ。親子のすれ違いが、火花を散らすラップバトルで明かされる。マイクを通してようやく思いを伝えられた雄大の言葉に、読者は、これは自分の物語だと胸がチクリと痛むだろう。